ストレスとフラワーアレンジメント

フラワーアレンジメントには、

ストレス発散をしに行くつもりでした。

テーマは季節の花のブーケ。

 

手先が器用でない私も、花の美しさと先生の技術の一部を借りることで、

美しいブーケを作る。

その想像行為に快を感じ、ひいてはストレスを発散できるだろう。

これが当初の目論見でした。

 

幼稚園で色水づくりにはまり、

小学校の頃は洋服のデザインを考えるのにはまり、

(同じようなデザインばかり描いてました)

かといって絵が上手なわけでもなく手先が器用なわけではない、

高校は音楽選択の私。

 

作るのが好きな気持ちはねじれたまま、奥に追いやられていたのですが、

その気持ちを再び引っ張り出したのは、箱庭でした。

箱庭療法

自分の気持ちがわからなくなったひと、言葉にできないひとの、

深層心理を知るための精神療法の一つです。

(この言い方も下の描写も極めて大雑把なので、

 気になる人は最相葉月さんの『セラピスト』を読むのがオススメです)

 

箱庭療法は、ミニチュアの家具とか造花とかフィギュアとか石とか、

あらかじめそこに用意されているものを箱の中に配置するというものなので、

私の手先の器用さは関係なし。

まあイメージ通りのものがないと少し残念ですが、

その場では本当はこういうイメージなどど言葉で補足しました。

 

そこに展開される私の理想の世界。

自由にどう作ってもいい。

「日常」も「常識」も「決まり」もない世界。

この興奮は何にも代えがたいものでした。

 

しかし、箱庭から離れる時期がやってきます。

 

あの興奮が手に入らない・・・。

 

私はコラージュに手を出しました。

雑誌を切り抜いたり、新聞を切り抜いたりして、

一枚の紙の上に貼り付けていくものです。

これも、私の手先は関係なし。

1週間続けました。

 

そうすると、手元のもう切り抜いていい雑誌のストックがなくなりました。

これではお手上げです。

素材がないと作れない・・・。

 

そんな私が発見したのがフラワーアレンジメントでした。

 

どこにどの花を、どんな高さで、どんな向きで配置するか。

しかし、これはアレンジメントだからこそ、なのです。

ブーケでは(素人には)できることの幅が少ない。

 

結局のところ、

1:素材がある

2:自由度が高い配置

 

この二つがないと私にとって、

ストレスの発散にならないのだと悟りました。

 

ただ、同じ花材があって、同じようにアドバイスを受けて作っても、

できあがるものが全然違うというのは面白いです。

 

ちなみに私の作ったブーケは、

かわいい球形を描くことはなく、

花がその美しさを最大限に発揮することもなく、

緑が自由にぴょんぴょんと飛び跳ね、下手をすると花々より目立つという、

野放図な仕上がりでした。